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演者 |
共同演者 |
所属 |
演題 |
抄録 |
1 |
上用 祐士(ジョウヨウ ユウジ) |
岡本秀貴(名古屋市立大学病院 整形外科)
藤浪慎吾(小牧市民病院 整形外科 )
柴田康宏(豊橋医療センター 整形外科)
大塚隆信(名古屋市立大学病院 整形外科) |
豊橋医療センター 整形外科 |
鎖骨骨折後にテニスに復帰した1例 |
【はじめに】鎖骨骨折において保存治療と手術治療のどちらを選択するかはいまだに議論される点であり、その後療法に対しても明確な方針は確立していない。今回我々はテニス愛好者が受傷した鎖骨骨折に対し、手術治療を選択し良好な成績を得たので報告する。【症例】59歳男性。トラックの荷台から転落し受傷、右鎖骨骨幹部骨折を認め受傷4日目に全身麻酔下にて骨接合術施行、プレート使用し内固定行った。【経過】術後1週で肩関節屈曲100°、術後4週で可動域制限はほぼなくなった。術後2ヶ月で日常生活は支障なく、徐々に軽い運動を開始した。術後3ヶ月よりテニスに復帰。最初はストロークのみだったが、サーブも早期より上から打てるようになった。単純X線像でも十分な仮骨形成も認めている。【考察】今回、十分な内固定を行った症例に対し術後3ヶ月よりテニスへの復帰が可能であった。鎖骨骨折術後の後療法として一つの目安と考える。 |
2 |
田中健太 |
高橋美沙(北里大学大学院医療系研究科) 渡邊裕之(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻) 高平尚伸(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻) |
北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法専攻 |
テニス選手の非利き手側の肩関節前方不安定性と関節可動域および体幹側腹筋筋厚の関連―両手バックハンドを用いる全国大会出場レベル女子選手を対象として― |
目的は,両手バックハンドを用いる全国大会出場レベル女子テニス選手の非利き手側(ND側)の肩関節前方不安定性と肩・股関節回旋可動域および体幹側腹筋筋厚の関連を検討することである.対象は17名で,Apprehension Test,肩・股関節回旋可動域,体幹側腹筋筋厚を測定した.解析は利き手側(D側)に肩関節前方不安定性が有る者(n=3)を除外し,ND側に不安定性が有る者を肩不安定群(n=8),不安定性が無い者を肩安定群(n=6)と定め,関節可動域と体幹側腹筋筋厚を肩安定群と肩不安定群の群間およびD・ND側間で比較した.その結果,すべての項目で群間による差は認められなかった.一方,肩不安定群内では,肩関節内旋可動域がD側で低値を示し,内腹斜筋・腹横筋筋厚はD・ND側間で差を示さず,テニス選手特有の体幹側腹筋の非対称性は認められなかった.従って,ND側の肩関節前方不安定性とD側の肩関節内旋可動域制限,内腹斜筋・腹横筋の対称性に関連性が示唆された. |
3 |
梅原 亮
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新井猛¹⁾赤池敦¹⁾²⁾前田真吾¹⁾白土祟輝¹⁾佐藤琢哉¹⁾内藤利仁¹⁾清水弘之¹⁾別府諸兄¹⁾ 1)聖マリアンナ医科大学 整形外科学講座 2)聖ヨゼフ病院 |
聖マリアンアナ医科大学 整形外科学講座 |
テニス選手に発症した肘離断性骨軟骨炎2例の経験 |
【背景】肘離断性骨軟骨炎は成長期の野球選手、特にピッチャーに多く発症することは知られている。しかし、テニスを含むラケット競技の発症した報告は少ない。今回我々は、成長期のテニス選手に発症した離断性骨軟骨炎の2例に対して治療の経験を得たので報告する。【症例】症例1は12歳男性、全国大会出場歴のある選手で病期分類は遊離期、関節鏡視下にマイクロフラクチャーを施行した。症例2は15歳男性、ジュニア全国大会出場レベルの選手で病期分類は遊離期、関節鏡視下に肋骨肋軟骨移植を行った。【結果】症例1は元来左利きであり、左フォアハンドに変更してテニス競技に復帰。症例2はリハビリテーションを行っている。【考察】テニスにおける反復するスイングでも野球肘と同様の機序で肘関節の軟骨損傷を発症する可能性がある。しかし、野球肘の軟骨損傷の発症部位とは異なる点からテニス選手特有の発症機序が推測される。 |
4 |
高原政利 |
原田幹生(泉整形外科病院 手・肘・スポーツ)
近藤幹朗(泉整形外科病院 手・肘・スポーツ) |
泉整形外科病院 手・肘・スポーツ |
テニス選手の変形性肘関節症に対する関節鏡視下手術 |
【目的】テニス選手にも上腕骨小頭離断性骨軟骨炎がまれに発症し、変形性肘関節症を併発する。テニス選手で離断性骨軟骨炎がないのに変形性肘関節症を発症し、外科的治療の対象となることは極めて少ない。今回、テニス選手の変形性肘関節症に対し、関節鏡視下手術を行ったので報告する。 【症例】症例はテニスコーチとテニス愛好家の2例である。肘関節痛やロッキングのためテニスの続行が極めて困難であったため、手術を選択した。画像上、上腕骨小頭の関節面に変形は認めなかった。関節鏡視下に関節軟骨の摩耗と変性、遊離体および骨棘を切除した。鏡視下に剥脱しかかっていた軟骨を掻爬し、遊離体・骨棘を切除した。手術後、テニスに復帰したが、中高年テニス愛好家の1例には肘関節痛と可動域制限が残存した。 【考察】テニスのストロークやサーブによって肘関節軟骨の摩耗、変性が進行し、変形性関節症に至ったと考えられる。鏡視下手術は有用であった。 |
5 |
原田幹生 |
高原政利(泉整形外科病院 手肘スポーツ) |
泉整形外科病院 手肘スポーツ |
テニス選手の上肢疲労骨折に対し保存療法を行った3例 |
上肢疲労骨折に対し保存療法を行ったテニス選手3例を経験したので報告する。症例1:16歳、女性. 上腕骨骨幹部疲労骨折。MRIにて、上腕骨骨幹部に骨折線を認めた。痛みの生じるテニス動作を制限するように指導した。初診から2か月で痛みなく、全力でテニスが可能になった。症例2:16歳、男性. 橈骨骨幹部疲労骨折。MRIにて、橈骨骨幹部に骨髄浮腫を認めた。痛みの生じるテニス動作を制限するように指導した。初診から5か月で痛みなく、全力でテニスが可能になった。症例3:21歳、男性. 第2中手骨疲労骨折。MRIにて、第2中手骨に骨髄浮腫を認めた。テニスを2週間休止した。その後、痛みの生じるテニス動作を制限するように指導し、テニスを再開した。最終経過観察時、痛みなく、全力でテニスが可能であった。 【考察】本研究の3症例では、上腕骨、橈骨、および第2中手骨に疲労骨折を認め、いずれもテニス禁止・制限を行い、最終的に痛みなく、テニスに完全復帰可能であった。 |
6 |
神山 翔 |
金森章浩(筑波大学整形外科) 田中利和(キッコーマン病院整形外科) |
筑波大学整形外科 |
エリートジュニアテニス選手に生じた右手舟状骨疲労骨折の1例 |
テニスのエリートジュニア選手に生じた右手舟状骨疲労骨折について報告する。症例は18歳男子インターハイ上位チームのレギュラー選手で、4月からバックハンドボレーの練習を積極的におこなってから、右手関節痛が出現した。痛みのあるままプレイ継続していたが、8月にバックハンドボレー後から激痛のためプレイ不能となった。近医受診しCT上右手舟状骨疲労骨折と診断されたのち紹介となった。初診時snuff boxに圧痛を認め手関節の可動域は左と比較して10度制限を認めた。骨折部の転位は認めなかったため、1か月間のthumb spica cast固定後に手関節装具を2か月装着し3か月後から軽い練習を許可した。5か月の時点で完全に練習復帰し画像上も骨癒合を認めたが、手関節には約10度の屈曲制限を認めた。疲労骨折の中で手舟状骨におこる例は比較的まれではあるが、テニスにおける背屈や橈屈動作の繰り返しは疲労骨折をおこす危険性があることを認識する必要がある。 |
7 |
奥平修三 |
中田 研(大阪大学大学院 医学系研究科 健康スポーツ科学[スポーツ医学])
金森章浩(筑波大学 大学院人間総合科学研究科 臨床医学系整形外科[スポーツ医学])
三谷玄弥(東海大学 大磯病院整形外科)
赤池 敦(聖ヨゼフ病院 整形外科)
古川泰三(京都警察 整形外科) |
京都警察病院 整形外科 |
尿検査試験紙(ウロペーバー)による試合中の脱水評価の試み -第2報- |
昨年、我々はデビス杯7試合(シングルス5試合、ダブルス1試合)について脱水評価をこころみ自己評価より、尿検査試験紙による客観的評価が有用と考えた。 今回さらに、さらにデータ数を増やし、尿試験紙による客観的評価について検討した。 |
8 |
及能 茂道 |
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及能内科クリニック |
テニス中の心肺停止から生還した貴重な1症例 |
心臓突然死は運動中に頻度が高いことが定説となっている。コート上での突然死事故の情報は各地から日本テニス協会に寄せられてきたが追跡調査は殆どできていない。今回コート上での心肺停止から生還し、診断、治療,経過を明確にできた症例を身近に経験した。症例は61歳、男性。既往歴として健診で心電図異常を指摘されていた。以前にゴルフとテニス中に突然動悸を自覚したことがあった。2011年12月ダブルス開始早々失神して卒倒、心肺停止に陥る。直ちに仲間が心肺蘇生しAEDを装着,心室細動に対して除細動が施行された直後に意識清明となる。その後に到着した救急車で搬送された病院で心尖部肥大型心筋症と診断。横浜市大病院に転院して植込み型除細動器[ICD]の植込み術を施行。退院後ただちに社会復帰し、3か月後にはテニスとゴルフも再開した。心臓突然死の典型的な多くの教訓をもたらした貴重な症例を報告する。 |
9 |
岡本秀貴 |
名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科 後藤英之、野崎正浩、村瀬熱紀、西森康浩、黒柳 元、川口洋平、立松尚衛、大塚隆信
横浜市スポーツ医科学センター整形外科 赤池 敦
名古屋第二赤十字病院整形外科 深谷泰士
名古屋大学大学院医学研究科整形外科 大間知孝顕、村本明生、伊藤研悠
名古屋大学大学院医学研究科手の外科 栗本 秀
藤田学園保健衛生大学大学院医学研究科整形外科 志津香苗、大原邦仁
浜松市リハビリテーション病院 整形外科 尾藤晴彦
愛知医科大学大学院医学研究科整形外科 佐藤 崇、村松由崇、森井淳司、浅野雄資
岐阜大学大学院医学研究科整形外科 福田章二、山田一成
小牧市民病院整形外科 藤浪慎吾
豊橋医療センター整形外科 上用祐士
中根整形外科 中根康雄 東海地区担当トレーナー 三木裕昭
大阪大学健康スポーツ科学講座 中田 研 |
名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科 |
テニスにおける傷害疾病発生について―ベテランアマチュア年代別の比較― |
【はじめに】 テニスにおける傷害疾病発生の報告は少ない。今回、トップアマチュア(ベテラン)年齢別に傷害疾病発生の比較を行ったので報告する。 【対象および方法】 2009年~2013年に開催された全日本ベテランテニス選手権(10月)を対象とした。本大会は35歳から80歳まで5歳きざみでクラス分けがなされている。35歳40歳45歳を壮年群、50歳55歳60歳を中年群、65歳以上を高年群とした。傷害は発生部位、種類、原因、競技中止日数、疾病は関連臓器、主訴、原因、競技中止日数を調査した。 【結果および考察】 傷害発生は各年代とも筋挫傷、筋痙攣、擦過傷が多くみられた。原因はオーバーユース、転倒で半数近くを占めた。疾病関連臓器は各年代とも消化器が多かった。また、心血管は壮年では見られなかったが年代が上がるにつれて増加していた。 夏日が続く時期の開催なので熱中症への対策や年齢を考えずに無理をしての傷害疾病発生を防ぐための注意喚起が必要と考えられた。 |
10 |
橋本 祐介 |
米谷泰一1),3) 奥平修三1),4) 平松久仁彦1),5) 中田研1),6) 1)関西テニス協会スポーツ医科学委員 2) 大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科 3) 大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(整形外科) スポーツクリニック 4) 京都警察病院 整形外科(スポーツ) 5) 八尾市立病院 整形外科 6)大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学 |
関西テニス協会スポーツ医科学委員、大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科 |
日本ジュニアエリートテニス選手の世代別障害発生率の検討 |
はじめに)今回我々は平成23~25年度全日本ジュニアテニス選手権大会における医師の診察を要した選手の障害部位と障害発生率を年代別で調査したので報告する。 方法)3年間の全日本ジュニアテニス選手権に出場した12歳から18歳までのそれぞれシングルス、ダブルスを対象とし、試合数、試合時間を集計した。大会期間中、メディカルルームでドクターの診察を受けた患者数、疾患別、部位別に分類した。障害発生率を障害人数/1人/1000プレー試合時間(athlete exposure match hours)として算出した。 結果および考察)2106試合、延べ5616人がプレーした。運動器疾患患者が93人存在した。全体での傷害発生率は9.35/1000AEMHであった。障害発生は16歳以下女子に多く出現しており(18.1/1000AEMH)、カテゴリー、部位別では14歳以下男子の体幹(4.7/1000AEMH、そのうち腰椎2.36)、18歳以下男子の下肢(7.8/1000AEMH、そのうち足関節2.36)、16歳以下女子の上肢、下肢(7.6、7.0/1000AEMHそのうち肩2.1、手関節2.1、足部2.1)、18歳以下女子上肢(5.9/1000AEMH、そのうち手関節5.9)の障害発生率が高かった。14歳以下男子の腰椎分離症、18歳以下男子の足関節捻挫、16歳女子の肩、手関節障害、足部疲労骨折が潜在すると考えられる。 |
11 |
米谷 泰一 |
平松久仁彦1,3、橋本祐介1,4、吉田明代1、播磨哲1、河野史倫1,5、梅林薫1,6、中田研1,5 1. 大阪府テニス協会 大阪トレーニングセンター 2. 大阪大学 整形外科 3. 八尾市立病院 整形外科 4. 大阪市立大学 整形外科 5. 大阪大学 健康スポーツ科学講座 |
大阪大学 整形外科、大阪府テニス協会 大阪トレーニングセンター |
日本テニス協会ナショナルチーム メディカル・コンディショニングチェックの地域実践:大阪府トレセン、モデルエリアトレセンでの取り組み |
成長期にあるジュニア選手は、運動強度増加に伴う運動器障害が生じやすく、日常的なメディカル・コンディショナルチェックが重要である。我々は、JTAナショナルチーム メディカル・コンディショナルチェックを、関西地域のジュニア選手に対して以前より施行してきた。しかし、計測時間、測定スタッフの確保、継続的なフィードバックが困難な点等から、日常使用には不利であった。そこで、継続的フィードバックによる選手・コーチへの浸透と競技力向上を目標に、JTAメディカル・コンディショナルチェックのショートバージョンを元にして、日常使用可能な計測・フィードバック方法を検討し、大阪トレセンを皮切りに各モデルエリアトレセンにて2013年度より実践開始している。計測内容は、上下肢の柔軟性・関節可動域・ファンクショナルテストの計測・フィードバックを行っている。取り組み内容と計測結果について報告する。 |
12 |
三谷玄弥 |
筑波大整形 金森彰浩 大阪大スポーツ医学 中田研 聖マリアンナ医大整形 別府諸兄 |
東海大学大磯病院整形外科 |
2013年FED CUPチームメディカルサポート報告 |
2013年女子国別対抗戦FED CUPは2戦とも厳しいアウェイでの戦い、ヨーロッパ遠征となった。チームDrとして帯同し、その後ツアーを転戦する選手たちのサポートをおこなったので報告をする。2月、ワールドグループ1回戦はモスクワでロシアとの対戦であった。チームは 選手4名とスタッフ9名であった。2月3日から12日まで帯同し、対応件数は14件(疾病6、傷害8)であった。4月は、ワールドグループⅡを勝ち上がったスペインとのプレーオフをバルセロナで戦った。チームは選手4人とスタッフ8名であった。4月16日~23日まで帯同し、対応件数は7件(疾病2、傷害5)であった。選手たちがツアーに戻ってからも疾病、傷害へのサポートをトレーナーと連携して随時行った。ナショナルチームにおける我々のメディカルサポートは帯同時のみから年間を通じたサポートへと深化しており、その重要度は高くなってきている。今後もその体制を強化していきたい。 |
13 |
松村英尚 |
藤巻弘太郎(とどろきファミリー歯科クリニック・東京) 丸山清孝(丸山歯科医院・東京) |
松村歯科医院・福岡 |
日本スポーツ歯科医学会におけるテニスに関する研究活動の推移と、今後の展望 |
わが国におけるスポーツ歯学研究が、組織的に行われるようになったのは、1990年に「スポーツ歯学研究会」が発足したことに端を発する。同研究会は2000年には学会組織への移行を果たし、「日本スポーツ歯科医学会」と改称して研究の質・量を充実させてきた。 同学会ではこの23年間に、外傷予防の観点からのラグビーなどコンタクト・スポーツにおける研究だけではなく、咬合と全身の運動の観点からも様々なスポーツにおける研究が行われてきた。 今回、同学会の学術雑誌「スポーツ歯学」の内容を分析し、特にテニスの研究活動に焦点を絞り、その研究内容を考察するとともにスポーツ歯学研究の推移ならびに今後の研究課題について考察する。 |
14 |
黒田 厚 |
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大分県テニス協会医科学委員会 |
大分県テニス協会医科学委員会の活動について |
【はじめに】 大分県テニス協会は平成24年度よりジュニア選手の障害予防に取り組んでいる.25年度からは医科学委員会を設置し本格的に活動を行っている.その活動について紹介する.
【活動実績】 トップリーグ21回,鹿児島遠征1回,宮崎遠征1回.強化練習会4回,熱中症講習2回,メディカルチェック4回.
【活動報告】 ケア回数は75回で,急性障害32件,慢性障害は43件であった.部位別には下肢が53.3%で最も多く,上肢,体幹と続いた.ケア内容としてはストレッチ指導が38回(27.1%)と最多でストレッチ不足が示唆された.そこでウォーミングアップを行ってからプレイ開始する流れを作るに至った. 平成24年の熱中症は4件あった.その結果を受け25年6月に講習を実施した.講習前後に体重測定を行い,体重減少量を求めた結果,講習後に減少量が減少したことがわかった. 今後は選手の自己管理能力の向上が望まれる. |
学 術 講 演 |
北條達也 |
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同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科 |
テニス現場における救急処置 |
本邦におけるテニスの公式トーナメントのルールは、基本的に国際テニス連盟(ITF)のテニス規則および諸規定 を順守して定められており、暑熱環境に対応するヒートルールや試合中の外傷や病気に関するメディカルルー ルも同様である。 現場での外傷や病気に対するメディカルタイムアウト(MTO)のルールは、公式トーナメントでは医師・トレー ナー(Medical Staff:MS)が常駐している条件のもとに採用されるが、この条件を満たしていない場合にはレ フェリーの許可のもとに選手自身で治療を行うことになる。 長時間にわたってストップ&ダッシュを要求されるテニスでは、足関節捻挫を代表とする下肢の外傷が多く発 生する。試合中に身体にトラブルを発生した選手は、アンパイアやレフェリーを通じてMSを要請し、緊急の事態 以外は次のエンド交代時かセットブレーク時に診察を受けられる。診察によるMSの判断に基づいて、レフェリー の許可によって3分間のMTOを受けることができる。3分間という限られた時間で選手の外傷の治療をしなくて はならないために、MSには相応の技量が要求される。 松岡修造の両脚の筋痙攣による全米オープン棄権を契機に筋痙攣の処置がMTOとして認められるように ルールが改正されていたが、2010年1月からITFは再びMTO対象から除外した。これによって、MSは痙攣と 肉離れの的確なかつ迅速な判断を迫られることになった。 医学的判断からMSは選手のリタイアをレフェリーに進言できるが、最終判断はレフェリーが行う。症状が十分 回復したとMSが判断した場合、選手は同一日の他の試合に出場することができる。薬物の投与は国内法の範 囲内で医師が実施することができるが、医療機関の認可を受けていない会場医務室での脱水に対する点滴な どの静脈内注射は、ドーピング行為となる場合があるので注意を要する。 本講演では、テニス現場におけるMTOを含めたMSの対処について概説する予定である。 |
学 術 講 演 |
中田 研 |
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大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学 |
テニスにおける膝関節の傷害 |
テニスの試合では,方向転換の多い早い動きを長時間求められるため,運動器の様々な外傷(一度の大きな 力によるけが)と障害(繰り返す比較的小さな力による故障,いわゆる オーバーユース症候群)が発生してい る.上肢では肩,肘,手関節の関節障害が多く,体幹では,腰部の障害と,上級者では腹筋の肉離れも多くみら れる.下肢では,膝関節,足関節の外傷と障害が多く,また,大腿部,下腿部の筋障害や膝蓋腱やその周囲の障害,アキレス腱の外傷・障害もみられる.
膝関節とその周囲の外傷では,靭帯損傷,半月板損傷の発生がある.膝前十字靭帯損傷は,選手生命にとって致命的であり,手術治療とその後のリハビリテーションが重要である.また,半月板損傷も,保存治療で完治しがたい場合には手術治療により,修復術を行ない機能回復をめざす
膝関節とその周囲の障害では,膝蓋腱炎,鵞足炎,大腿四頭筋腱炎ど腱,腱周囲,または,腱付着部の障 害,膝蓋下脂肪体炎,滑膜ひだ障害など脂肪や滑膜の軟部組織の障害と,有痛性二分膝蓋骨やオスグッド病などの骨に対する牽引力が原因となっているものもある.これらに対しては,成長期の身長変化であるPHV(Peak Height Velocity)など,個人の特性も聴取して,適性な練習やトレーニングの指導が必要になることもあり,診察室のみならず,コートでのチェックや指導も重要である.
診察室での診療から,さらに,障害の予防を目指して,メディカルチェックなど,また,競技力向上,健康増進へのスポーツ医学活動は,テニス協会や競技団体とも協力して行う必要がある. |