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演者 |
共同演者 |
所属 |
演題 |
抄録 |
1 |
浦辺幸夫 |
竹田知己(四国医療専門学校)
村木良搏(ケアステーション)
斉藤裕斗(日本テニス協会) |
広島大学大学院保健学研究科 |
第37回全国中学校テニス選手権におけるトレーナー活動報告 |
第37回全国中学校テニス選手権は山口県宇部市中央公園テニスコートで、2010年8月18日から24日までの7日間にわたって開催された。大会トレーナーの活動内容を、今後のトレーナー活動に活かすために報告したい。
テニス医事委員会によるトレーナーマニュアルに沿って、事前準備が進められた。
本大会では熱中症の予防に細心の注意を払った。WBGT温度計により1時間毎に気温を測定した。日陰で32度以上の際はスポーツ活動禁止という基準で、それに近い温度に上昇することが2度あり、大会本部から選手に対して注意を喚起する放送を行った。数名の選手が熱中症の症状でトレーナーズルームに運ばれたが、その場での対処で回復できた。これらは、プレーヤーではなく、応援している選手が主であった。期間中に救急車の要請や後送病院への搬送はなかった。
インジュリーコールは、合計9回あり、熱中症、肉離れ、鼻出血、胼胝、肩関節の痛みなどへの対応であった。 |
2 |
原田幹生 |
高原政利2 丸山真博3 荻野利彦3
2 泉整形外科病院
3 山形大学 整形外科 |
日本海総合病院 整形外科 |
検診後1年以上経過したジュニアテニス選手の再検診 |
【目的】本研究の目的は、検診後1年以上経過したジュニアテニス選手に対して再検診を行い、重症の選手(疼痛が1年以上続く選手、1ヵ月以上練習を休んだ選手)について調べることである。
【対象と方法】検診に参加したジュニアテニス選手76名のうち、検診後1年以上経過し、再検診が可能であった選手61名(男36名、女25名)を対象とした。年齢は平均13歳(10〜14)であった。検診時と再検診時にアンケートで疼痛について調べた。再検診は初回検診後平均31ヵ月(12〜48)に行った。
【結果】疼痛ありは、検診時23名、再検診時22名であった。検診時の疼痛が残存した選手は10名、検診後に新たに出現した選手が12名であった。重症の選手は8名であり、その診断は、有頭骨疲労骨折、内上顆裂離、側弯症、脊椎分離症、腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、ジャンパー膝および足疲労骨折であった。
【考察】初回検診時に疼痛のある症例の約半数が、再検診時にも疼痛が残存していた。重症の選手8名中、4名は体幹の疾患であり、3名は疲労骨折であった。 |
3 |
橋本祐介

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米谷泰一1),3) 奥平修三1),4) 中田研1),5)
1)関西テニス協会スポーツ医科学委員
3) 大阪労災病院 スポーツ整形外科
4) 京都警察病院 整形外科(スポーツ)
5) 大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(整形外科) スポーツクリニック |
関西テニス協会スポーツ医科学委員、大阪市立大学大学 |
日本ジュニアエリートテニス選手の障害発生率 |
テニススポーツは上肢下肢ともに障害が発生すると言われている。サッカーでは1000時間プレー当たりの障害発生率が調査されているが、テニスにおいて1000時間プレー当たりの障害発生率の報告がない。今回我々は平成22年全日本ジュニアテニス選手権大会における医師の診察を要した選手の障害部位と障害発生率を調査したので報告する。
方法)全日本ジュニアテニス選手権に出場した12歳から18歳までの全試合を対象とした。試合数、試合時間、診察を受けた患者数、疾患別、部位別に分類した。障害発生率を障害人数/1人/1000プレー試合時間として算出した。
結果)総試合数は702試合、総試合時間は1221時間、平均試合時間は104分、患者数は53例で熱中症は17%であった。部位別では上肢12例、体幹9例、下肢13例であった。障害発生率は熱中症が2.76、投球肩と腹筋損傷が1.53であった。考察)大会は夏の大阪で開催されているため、熱中症障害発生率は最も多い2.76であり、常に注意を喚起するべき疾患と考えられる。運動器障害では肩、大腿部、腹筋損傷の頻度が高かった。現在,スポーツ競技での傷害調査は国際的標準化が行われつつあることから,今後は統一したデータシートによる、傷害重症度も含めた,よりシステマティックな調査を行っていくべきと考える。 |
4 |
中田研 |
金森章浩,三谷玄弥,赤池敦,奥平修三,別府諸兄,村木良博,太田圭介,橋本祐介,米谷泰一,梅林薫,竹内映二 |
日本テニス協会強化本部ナショナルチームTSS,トーナ |
テニス競技におけるスポーツ傷害調査研究の方法と実施:エリートジュニアの競技力強化と傷害予防にむけて |
テニス競技の試合は連日のトーナメント形式で,体力三要素(筋力,スピード,持久性)が高いレベルで求められ,さらに上位をめざすエリート選手は多くのトーナメント出場が必要で,オーバーユースや外傷を抱えて試合出場がみられる.試合大会中に症状の悪化や外傷の発症により余儀なく棄権や辞退もあり,スポーツ選手の身体上も問題である.一方,スポーツ傷害の予防には,発生部位や頻度,受傷メカニズム,重症度などにつき,システマティックな調査が必要であり,オリンピックなど総合大会や主要競技種目での調査研究が行われている.日本テニス協会のG-project(オリンピックにおける強化プロジェクト)に連動して,日本エリートジュニア強化,傷害予防にむけて,テニス競技での調査研究の方法につき昨年より検討を行い,実施にむけた予備的調査,体制づくりを行った.今後の調査研究につき,実施方法,体制を検討,報告する. |
5 |
村木良博 |
中尾公一、石野千枝、池田明子、佐藤麻世(ケアステーション) |
JTAトーナメント委員会ドクタートレーナー部会/ケアス |
テニス競技中のケイレンに関する症例と防止対策 |
筋ケイレンは、生理的、身体的、身体的、環境的などさまざまな要因によって、脳・筋紡錘・腱紡錘のバランスが崩れ、運動神経が異常興奮し筋が連続した自動収縮をする状態といわれている。テニスでは、限られた範囲をダッシュ、ストップ、ジャンプ動作を繰り返すため、ケイレンを発症する機会が多い。ケイレンは、さほど重大な外傷ではないが、発症するとかなり強い苦痛が伴い、運動の継続ができなくなるほどの症状を呈する。ケイレンの処置は、ある程度確立されているものの、それを防止する医学的、生理学的、栄養学的なアプローチはされているものの決定的な方策はまだ確立されていない。JTAがサポートするナショナルチームの強化選手が、ここ一番という試合で2試合連続のケイレンによる棄権試合を経験した。その症例を報告するとともに防止対策法を探る。 |
6 |
赤池 敦 |
鈴川仁人1)、高橋佐江子3)、坂田淳1)、清水邦明1)、中嶋寛之1)、別府諸兄2)
1)横浜市スポーツ医科学センター
2)聖マリアンナ医科大学整形外科
3)国立科学スポーツセンター |
横浜市スポーツ医科学センター |
テニスプレーヤーにおける疾患の性差および年代差について |
1998年4月から2010年11月に当センターを受診したスポーツ競技者のうち、主たる競技種目がテニスであったものは4429症例(男性1794名、女性2621名)であった。18歳以下をジュニア、19〜39歳を壮年、40歳以上をシニアとし性差および年代別に多く認められる疾患を検討した。統計処理はχ2検定を用い有意水準は5%以下とした。症例数が20人以上であるものをとりあげると、ジュニアでは肩インピンジメントおよび膝蓋靱帯炎が男性で有意に多かった。壮年では膝蓋大腿関節障害や鼡径部痛症候群は女性に多く、半月板損傷は男性に多かった。またシニアでは半月板損傷や前十字靱帯損傷、足関節捻挫後遺症は女性に多く、肩腱板損傷や腰部脊柱管狭窄症は男性に多かった。テニスプレーヤーの疾患は年代別および性別によって特徴があり、これらをふまえた十分な啓発活動が重要である。 |
7 |
林 光俊* |
桂木 昌子* (竹橋クリニック)
萩原 博道* (萩原医院 三鷹市)
矢住 孝昭* (矢住医院 福岡市)
*日本医師テニス協会 |
杏林大学整形外科 |
全日本医師テニス大会における障害調査 |
【はじめに】約300名が出場する医師のテニス全国大会におけるテニススタイルと障害調査、医師ならではの治療・予防方法を調査した。
【方法】2009年広島、2010神奈川、山口で行われた全日本医師テニス大会に参加した選手に37項目のアンケートを行った。
【結果】回収は全体の約1/3(重複を除く)の168名で、男性128名、女性40名であった。
年齢は26-87才で平均58.3才、テニスを始めた年齢は比較的早く10才代が最も多く、経験年数は30年以上が48.2%であった。テニスレベルは中級以上(自己評価)が90%で、1週間の練習は4-6時間が最も多く45.8%であった。テニスによる怪我は86.9%が経験しており、怪我した年齢は40-50才代時が62.4%であった。状況は4割がダブルスの試合中で、大半がボールを追いかけている最中であった。
障害の種類はテニス肘と下腿肉離れで大半を占め、以下大腿部肉離れ、靱帯損傷、アキレス腱損傷、変形性膝関節症と続き腰痛、肩障害、骨折、打撲はわずかであった。
上記詳細を報告する。 |
8 |
藤井周 |
渡邊裕之2),平野享子3),芦原光明1),内田繕博1),西村雅道1),高平尚伸2)北里大学大学院医療系研究科1),北里大学医療衛生学部2),武蔵野赤十字病院 リハビリテーションセンター3) |
北里大学大学院医療系研究科 |
全国大会出場レベル女子テニス選手の下肢筋の柔軟性と関節可動域の特徴 |
【目的】
女子テニス選手の下肢の筋柔軟性と関節可動域の特徴を検討した.
【方法】
全国大会出場レベル女子テニス選手16名(右利き)を対象に,筋柔軟性(ハムストリングス,四頭筋,下腿三頭筋),関節可動域(股関節内外旋)を測定した.
【結果】
筋柔軟性(平均値:右/左(°))は,ハムストリングス42.2/41.6,四頭筋36.3/34.4,腓腹筋5.6/2.2,ヒラメ筋23.4/15.9,関節可動域は,股関節内旋42.2/43.7,外旋37.8/40.3であった.左右の比較では,左下腿三頭筋の柔軟性が有意に低かった.
【考察】
テニスではショットの際に踏み込み動作を頻回に行う.この時,足関節が背屈位に強制され下腿三頭筋の強い収縮が生じ,同筋には過大な負荷が加わる.さらに,右利き選手のサーブやスマッシュでは左足でのジャンプや着地を行うため,これらの負荷の蓄積から左下腿三頭筋の柔軟性が低下したと考えられた. |
9 |
奥平修三 |
中田 研(大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(整形外科)スポーツクリニック)、古川泰三(京都警察病院整形外科)、赤池 敦(横浜市スポーツ医科学センター)、別府諸兄(聖マリアンナ医科大学整形外科) |
京都警察病院整形外科(スポーツ) |
日本男子テニスチームのメディカルサポート |
日本テニス協会強化本部TSSメディカル(旧テニス協会医事委員会)はH15年(2003)より日本男子テニスチーム(デビス杯日本チーム)メディカルサポート行っている。現在までに、国内外の16試合に対しサポートを行いメディカルチェック体制を構築してきた。帯同中に治療の必要な疾患は内科的疾患が多かった。今回チームサポート体制の現況について報告し、「プロ競技としてのテニス」に適したチームドクターサポートについて考える。 |
10 |
中田研 |
中田研,小屋菜穂子,三栖英揮,北村珠美,高橋正則 ,金森章浩,三谷玄弥,赤池敦,奥平修三,池田亮,田島孝彦 |
日本テニス協会強化本部ナショナルチームTSS |
日本代表テニス選手の統合的なコンディショニングチェック方法の開発と普及への取り組み |
日本テニス協会では,従来,ナショナル代表候補テニス選手に対して,メディカルチェック,フィジカルテスト,ファンクショナルテスト,メンタルチェック,ラボテストなどの各種チェックをドクター,トレーナー,スポーツ科学者などの各専門チームがそれぞれ行ってきた.2009年4月にナショナルチームを医学,トレーニング科学,情報,測定など各部門から集まったチームとして統一的にサポートするためにTSS(テクニカル・サイエンス・サポート)を発足させ,日本テニス選手のコンディショニングチェックの方法を開発してきた.2011年1月に統合的なコンディショニングチェックとしてver1.0を発表したので,その開発経緯,方法と,今後,ジュニア傷害普及へ向けた取り組みの現状を報告する. |
11 |
尾崎大也 |
森 淳1、村重良一2、丸山弘道3、安見拓也3、林幹彦1、松井秀平1、岩下哲1、望月祐輔1、菅原高広2、小玉京士朗21:日本医科大学整形外科、2:ほりきり整形外科、3:吉田記念テニス研修センター |
日本医科大学整形外科 |
車いすテニスのトップ選手における練習・医療環境に関する調査 |
全日本選抜車いすテニス選手権大会の大会救護を行うに当たり、体調のチェック、練習・医療環境を調査する目的でアンケートを行った。対象は、同大会に出場し同意を得られた計18選手で、内訳は男子7名、女子7名、クァード(四肢麻痺の重度障害者)クラス4名である。平均年齢は、男子35.1歳、女子35.7歳、クァード40.0歳であった。質問は上記に加えて、体幹・下肢残存機能、障害者スポーツの問題点等について、合計22項目にわたり調査した。車いすを使用する事になった原因は、外傷66.7%、疾病33.3%であった。大会初日の有症状部位は、肘・肩関節が38.9%、腰部が33.3%、手関節27.8%であった。海外大会への年間参加回数は、平均6.7回であった。車いすテニスをする上での問題点は、「金銭的な余裕がない」が61.1%、「いっしょに打つ仲間が少ない」が27.8%と上位を占めた。 |
12 |
田中利和 |
金森章浩: 筑波大学臨床医学系 整形外科 |
キッコーマン総合病院 整形外科 |
テニス愛好家における尺側手関節痛の4例 |
テニスにおいて、手関節の役割は、人体のパワーをラケットに伝える、大切な役割を担っている。現在主流になっているワイパースイングは、ボールに回転をつけて、出来るだけ体の前方でボールを捉えて、手関節を回外から回内に急激に回旋することでボールにスピンを掛ける方法である。そして相手コートに弾んだボールは高く跳ね相手をコートの外へと追いやることが出来る大変有効で安定したショットです。しかし肘伸展位で、相手に対してバイバイする手関節の動きは尺側の手関節に大きな負担を与えます。今回著者らは、高校生からレッスンプロにおける尺側手関節痛を認めた4例を経験したので、報告する。全例TFCCの損傷である。年齢は16歳女性Discの変性、関節鏡下に部分切除、32歳女性鏡視下切除と尺骨短縮術、35歳女性鏡視下切除と尺骨短縮術、そして37歳の男性はTFCCの完全断裂とDRUJの変形であり、保存的治療のみを希望された。 |
13 |
八木 知徳 |
(医) 山の手通八木病院 整形外科
小野寺 純、上田 大輔、大水 信幸、山脇 慎也 |
(医) 山の手通八木病院 整形外科 |
第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折)の一治療例 |
第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折)は、ジュニア・テニス選手においては比較的稀である。当院での一治療例を報告する。
【症例】16才男子で、ジュニア選手としては我が国トップクラスである。2008年8月ランニング中突然右足外縁に疼痛を覚え、当院を受診した。X線像でジョーンズ骨折と診断され、保存療法も検討されたがスポーツ活動への早期復帰を考え手術療法を選択した。アキュトラックにて髄内固定し、術後は免荷および衝撃吸収インソールなどを作製しリハビリを行った。6週で米国フロリダのキャンプへ戻った。その後コーチとメールで連絡を取り合い8週から軽いランニング、10週でストローク、12週で試合出場とスケジュールを順調にこなした。手術5ヵ月後には、全豪ジュニア・ダブルス準優勝とみごと競技復帰した。この症例を紹介し、ジョーンズ骨折治療法についても文献を加え報告する。 |
14 |
三谷 玄弥 |
三谷玄弥1,2 金森章浩1,3 奥平修三1, 4 赤池敦1, 5 中田研1,6 別府諸兄1,7 |
1.(財)日本テニス協会ドクタートレーナー部会 強化本部ナショナルチーム 2.東海大学付属大磯病院整形外科学3.筑波大学人間総合科学研究科臨床医学系整形外科4.京都警察病院整形外科5.横浜市スポーツ医科学センター6.大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学7.聖マリアンナ医科大学整形外科 |
2011 フェドカップアジアオセアニアゾーン予選 帯同報告 |
日本テニス協会では各種スペシャリストにより構成されるメンバー(2011年度より強化本部内ナショナルチーム テクニカルサポート(TS)と名称変更) が、年間を通じて各世代の日本代表チームのサポートを行っている。
今回、その一環である2011年フェドカップアジアオセアニアゾーン予選のチームドクター帯同報告を行う。
開催場所はタイ、バンコクのナショナルテニスセンター、遠征期間は1月25日から2月7日(ドクターは28日より合流)であり、チーム編成は選手、スタッフを含めて14名であった。 帯同中の対応件数は疾病14件 外傷、障害 8件であった。試合中の日本チーム傷害発生は3件 / 999分(1件はリタイア)であった。
選手の奮闘によりチームは優勝しワールドグループ2入れ替え戦の切符を手にすることが出来たものの、渡航直前のインフルエンザ罹患による代表選手交代、暑熱下のけいれんによる選手のリタイアなどいくつかの問題点が認められた。
女子のナショナルチームは現体制のメディカルサポートが始まる以前から、すでに世界で転戦するトップ選手が多かったため、自主性を尊重するサポートを行ってきた。
しかし現チームは育成期から我々が携わっている選手達が主力となりつつあり、自主管理能力にまだ欠ける部分がある反面、我々の提言を受け入れる柔軟性に富んでいる。
各部門と連携をとり、より深化したメディカルサポートを行っていきたい。
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